今回は呼吸リハの必須の基礎知識であるWassermann(ワッサーマン)の歯車について説明します。
ワッサーマンの歯車は呼吸リハを学ぶ方にとっては基礎中の基礎であり、最低限知っておくべき知識です。

臨床で問題点を考える際にも非常に役立つ知識です。
一緒に学んでいきましょう!
呼吸の仕組み

Wassermannの歯車の説明の前に呼吸の仕組みについて見ていきます。
呼吸は字の通り、吸って吐くことです。
もう少し具体的に言い換えると酸素を取り込んで、二酸化炭素を排出することです。
酸素の流れでみると、肺で息を吸うと、肺胞で空気に含まれた酸素が血液にわたされます。
外界との酸素や二酸化炭素のやりとりを外呼吸と言います。
次に血液にのった酸素は心臓へ届きます。心臓はポンプの役割をして、酸素を全身に送ります。
全身の骨格筋や細胞へ酸素が届きます。そして、骨格筋のミトコンドリアで酸素を消費し、エネルギーを産み出します。
細胞との酸素や二酸化炭素のやりとりを内呼吸と言います。
また、エネルギーを作り出した副産物として産生された二酸化炭素は、骨格筋や細胞、心臓、肺と酸素とは逆の順序で運ばれて、体外へ排出されます。
以上が、酸素を吸って二酸化炭素を吐くまでに体の中で起きている呼吸の仕組みです。
Wassermannの歯車は呼吸の仕組みの模式図

この呼吸の仕組みを簡単に模式図で示したものものを「Wassermann(ワッサーマン)の歯車」と呼びます。
Wassermannの歯車は歯車が3つあり、一番右の歯車が肺、2つめが心臓と血液、3つめが骨格筋です。
肺で酸素を取り込み、血液にわたされます。
血液にのった酸素は心臓へ届き、全身の骨格筋や細胞へ酸素が届きます。そして、骨格筋のミトコンドリアで酸素を消費し、エネルギーを産み出します。
エネルギーを作り出した副産物として産生された二酸化炭素は、骨格筋や細胞、心臓、肺と逆の順序で運ばれて、体外へ排出されます。

呼吸の仕組みでお話しした内容がこのワッサーマンの歯車に凝縮されているのがわかりますね!
呼吸リハは肺だけを見たらよいのではなく、心臓や血液といった循環、骨格筋といった運動、エネルギー産生といった代謝など生命のベースである体の様々な機能について知ることが大事だとわかりますね。
ワッサーマンの歯車は臨床ではどう使う?


臨床ではこのワッサーマンの歯車の概念をどのように使うのかな?
臨床で栄養が大事なので私個人的には臨床の際にワッサーマンの歯車・改変の方で考えています。(上図参照)
それぞれの歯車は患者さんの病態によって大きさが異なることがあります。
例えば、肺に疾患があり肺の歯車が小さい方はその分心臓の歯車が代償して大きくなることがあります。

肺をかばうために心臓に負担を掛けている状態!
心臓の負担を取り除くために…

心臓からの歯車に負担を掛けないよう骨格筋の歯車を大きくすることはできないかな?

心臓に負担を掛けないようスムーズに3つの歯車を回せないかな?
といったように呼吸リハでは考えていきます。
アプローチの前に問題点の把握や整理が必要になってきますね。

この患者様・利用者様の場合、問題点は呼吸・心臓や血液といった循環・運動といった歯車の問題なのか?

また栄養の問題なのか?

身体機能以外に問題があるのか?などなど様々な問題点が考えられます。
Wassermannの歯車の概念を用いるとその様々な問題点の把握や整理に役立ち、「では、まずここにアプローチしよう‼」といったアプローチ法が浮かびます。
Wassermannの歯車は問題点の把握や整理に役立ちアプローチにつなげることができます。
YouTube動画でも説明しています。
良ければ見てみてくださいね!
まとめ
Wassermannの歯車に関するまとめです。
✔Wassermannの歯車とは、外呼吸と内呼吸の間のガス運搬の関係を説明する模式図のこと!
✔臨床でWassermannの歯車を用いると問題点の把握や整理に役立つ!
Wassermannの歯車は単なる模式図という理解だけでなく、臨床で問題点の把握や整理に役立ちアプローチにつなげることができますので必ずこの概念は押さえておきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ご質問やご意見などありましたら、お問い合わせから宜しくお願い致します(^^)
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