酸素療法や人工呼吸器管理の際に必要な呼吸調整についての基礎知識

基礎知識

今回は呼吸調整についてです。

「うっ、苦手だわ…(´;ω;`)」

と思われる方もいるかもしれませんが、酸素療法や人工呼吸器管理を理解する際には呼吸調整という知識が必要になってきます。

ここでしっかり学びましょうね!

ここでは

・呼吸調整はどこで行われているのか?

・呼吸調節にはどういった種類があるのか?

・酸素療法や人工呼吸器管理で重要な呼吸調節は何か?

について説明していきます。

それでは見ていきましょう!

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呼吸調整はどこで行われている?

呼吸調整は脳幹の呼吸中枢と呼ばれる部分で無意識下で調整されています。

呼延髄に存在

●吸気中枢:背側呼吸群(DRG;dorsal respiratory group)➡吸気ニューロンから構成

●呼気中枢:腹側呼吸群(VRG;ventral respiratory group)➡吸気・呼気ニューロンから構成

●pre-Bottzinger complex:自発的な呼吸リズムを生成、呼吸リズムに関与

参照)

 ・吸気ニューロン:吸気運動を促す

 ・呼気ニューロン:呼気運動を促す。

橋に存在

●呼吸調節中枢・無呼吸中枢:延髄の呼吸中枢に刺激を送り、呼吸リズムを修飾

●化学受容中枢:化学性調節の段落参照

呼吸調節の種類

呼吸調節の種類には、機械性調節、行動性調節、化学性調節があります。

機械性調節

機械性調節

●肺・気道に存在する受容器の刺激によって起こる調節機構。

例)気道平滑筋に存在する伸展受容器からの刺激では吸気が抑制されます(へーリング・ブロイエル反射;Hering-Breuer reflex)。

行動性調節

行動性調節

●嚥下・発声などといった行動によって起こる調節機構。

例)嚥下をする時は呼吸は一時的に止まります。

化学性調節

化学性調節

●動脈血中の酸素分圧、二酸化炭素分圧、pHによって換気運動が修飾されることで起こる調節機構。

末梢性化学受容器と中枢性化学受容器から呼吸中枢へ情報が伝わる。

末梢性化学受容器:特に酸素分圧の低下に反応し換気運動を促進します。

大動脈弓にある大動脈体

頸動脈分岐部にある頸動脈体

中枢性化学受容器脳脊髄液のpHに反応します。

延髄の呼吸中枢近く

例)二酸化炭素分圧が上昇⇒pH低下⇒換気運動が促進

酸素療法や人工呼吸器管理で大事なのは化学性調節!

酸素療法や人工呼吸器管理で特に大事なのは化学性調節になります。

酸素療法や人工呼吸器管理によりダイレクトに血中の酸素分圧や脳脊髄液のpHを変化させると化学性調節を介して換気運動が変化します。

言い換えると、適切に酸素投与や換気補助を行うと適切に化学性調節を刺激することになるので適切な換気運動を引き出せます。

しかし、過剰な酸素投与や二酸化炭素の再吸入をさせると化学性調節に悪影響を及ぼすことになります。

臨床でのちょっとしたコツ👆

酸素療法や人工呼吸器管理の際は血中の酸素分圧だけに目を向けるだけでなく、循環状態や貧血の有無にプラスして呼吸調整に関しても考慮するようにしましょう!

「過剰な酸素投与は呼吸調整にどういった影響を及ぼすか?」などを考えながら酸素療法や人工呼吸器管理を行うと患者さんや利用者さんに悪影響を及ぼすことはないかと思います!

動画でも話していますので良ければ見てみてくださいね(^^)!

呼吸数・呼吸リズム①呼吸調整

まとめ

今回は呼吸調節についてでした。

まとめ

呼吸調整は脳幹の呼吸中枢と呼ばれる部分で無意識下で調整されている。

✔呼吸調節の種類には、機械性調節、行動性調節、化学性調節がある。

✔機械性調節は肺・気道に存在する受容器の刺激によって起こる調節機構であり、行動性調節は嚥下・発声などといった行動によって起こる調節機構である。

✔化学性調節とは動脈血中の酸素分圧、二酸化炭素分圧、pHによって換気運動が修飾されることで起こる調節機構であり、末梢性化学受容器(大動脈体、頸動脈体)と中枢性化学受容器(延髄の呼吸中枢近く)がある。

✔酸素療法や人工呼吸器管理では化学性調節が重要である。

以上、呼吸調節についてでした。

呼吸調節についてすぐに使える視点・注意点!

☑酸素療法や人工呼吸器管理の際は血中の酸素分圧だけに目を向けるだけでなく、循環状態や貧血の有無にプラスして呼吸調整に関しても考慮する。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

ご質問やご意見などありましたら、お問い合わせから宜しくお願い致します(^^)

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