運動時に脈圧をみることは循環動態をアセスメントするうえで必須です!

基礎知識

今回は脈圧についてです。

血圧や脈拍、酸素飽和度については臨床でよく見ている方もいるかと思いますが、私は運動をする方に対してほぼ全員に脈圧についても見ています。

脈圧とは何?という方はここで基礎的なところを押さえておきましょう(^^)

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脈圧について

脈圧とは、収縮期血圧と拡張期血圧の差のことです。

つまり脈圧はどれくらいかを知ることは、循環動態をアセスメントするうえで非常に重要になってきます。

脈圧

脈圧=収縮期血圧ー拡張期血圧

 平均値:40~50mmHg

脈圧が大きい時

血圧の基礎知識でもお話した通り、血圧(脈圧)について考えるときは心臓と血管の2つについて考慮する必要があります。

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脈圧が大きい時もこの2つもしくは両方共が影響している可能性があります。

心臓(心拍出量の変化)

脈圧が大きい=心拍出量(心臓から送り出される血液の量)は増大しています。
運動時甲状腺機能亢進症貧血などで見られます。

血管(大血管)の変化

大きな血管の弾力性が低下すると、心臓は必死に血液を送り出す必要があるため収縮期血圧は上昇します。

収縮期血圧が上昇すると反射的に末梢血管が開くような反応が起こるため、末梢血管抵抗は下がり拡張期血圧は下がります。そのため脈圧は大きくなります。

大動脈が広範囲に硬化しているときなどで見られます。

脈圧が小さい時

臨床的に安静時でよくみられるのは、末梢血管抵抗の変化により脈圧が小さくなる場合です。

末梢血管抵抗が大きくなる=末梢血管が硬くなることで収縮期血圧も拡張期血圧も上昇し、拡張期血圧の方がより上昇するため脈圧が小さくなります。

本態性高血圧などで見られます。

運動前後で脈圧を見る意義

今までは主に安静時での脈圧の変化について述べましたが、運動前後で脈圧を見る意義も考えていきます。

運動前と後の脈圧を比較したとき、通常の反応は脈圧は増大します。

なぜなら運動に伴い、心拍出量が増大するからです。

脈圧が増大しない場合は以下を原因として考える必要があります。

脈圧が増大しない原因

①心拍出量が増大しない何らかの原因

②心拍出量の増大以上に末梢血管抵抗が上がっている原因

①の場合

何らかの原因で運動負荷に見合った分だけ心拍出量が増大できていないことを考慮する必要があります。

例えば、心疾患を有している方であれば心機能(心収縮も心拡張も)が運動負荷についていっていない可能性が考えられます。

また肺気腫などの方であれば運動により動的肺過膨張が起こり、心臓が肺に圧迫され心拍出量が保てていない可能性も考えられます。

心拍出量が増大できていないということは血流が滞っているので運動前後で頸静脈怒張や手指冷感が起きていないかも併せてチェックしましょう。

②の場合

何らかの原因で心拍出量の増大以上に末梢血管抵抗が上昇、すなわち末梢血管が締まっている可能性が考えられます。

安静時と運動時では血流の配分が変化します。

筋肉への血流の配分は増加しますが、皮膚への血流の配分は減少し末梢血管が締まります。

普通は心拍出量は運動に伴い増大するので脈圧も増大します。

心拍出量が増大する以上に末梢血管が締まるようなことが起こると、収縮期血圧の上昇よりも拡張期血圧の方が大きく上昇し、結果的に脈圧が小さくなります。

また本来運動に伴って血圧や脈圧は上昇するのですが、心機能低下などによる心拍出量低下により血圧を上昇できない場合は代償反応として末梢血管を締めることがあります。

心拍出量低下により収縮期血圧は下がり、末梢血管が締まることで拡張期血圧は上昇するため脈圧は小さくなります。

どちらにしても末梢血管が締まっているので運動前後で手指冷感が起きていないか、(また心機能低下が考えられる場合は頸静脈怒張が起きていないか)も併せてチェックしましょう。

臨床のちょっとしたコツ👆

運動時には血圧だけでなく、脈圧の変化を追うことで運動時に身体内部で起こっていること(主に循環状態)を推測することができます。

限られた計測機器しかない時には、その推測に基づき運動負荷量の設定や運動を継続するか否かの判断、運動の効果判定を行うことができます。

目の前の脈圧の変化は何が原因で起こっているのか、原因を絞り込んでいくときには頸静脈怒張や手指冷感などの他のフィジカルチェックも欠かさないようにしましょう。

まとめ

今回は脈圧について見てきました。

まとめ

✔脈圧=収縮期血圧ー拡張期血圧、脈圧の平均値は40~50mmHgである。

✔脈圧の大小は心臓や末梢血管の反応と関係している。

✔運動時に脈圧が増大しない原因は心拍出量が増大しないか、末梢血管抵抗上昇しているか、もしくはその両方であり、頸静脈怒張や手指冷感といった身体所見も併せてみる。

✔脈圧を知ることは循環動態をアセスメントするうえで非常に重要である。

以上、脈圧についてでした。

脈圧についてすぐに使える視点・注意点!

☑血圧や脈圧の変化を追うことで運動の負荷量の設定、運動を継続するか否かの判断、運動の効果判定を行い、運動の中止基準の1つの指標として頸静脈怒張や手指冷感といったフィジカルアセスメントとも併せて複合的に解釈する。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

ご質問やご意見などありましたら、お問い合わせから宜しくお願い致します(^^)

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