運動時バイタルチェックとともに頸静脈怒張や手指冷感もみていますか?

基礎知識

今回は頸静脈怒張と手指冷感について述べていきます。

安静時には頸静脈怒張や手指冷感をみることは多いかもしれませんが、私は運動前・中・後でも循環動態をアセスメントする情報の一つとして頸静脈怒張や手指冷感をみています。

そもそも頸静脈怒張や手指冷感とは何なのでしょうか?

運動時にみる意義とは何なのでしょうか?

それでは一緒にみていきましょう!

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頸静脈怒張とは

頸静脈怒張とは右心系への静脈還流が障害されることで起こる頸静脈の怒張のことをいいます。

右心系の静脈還流障害により内頸静脈・外頸静脈ともに怒張しますが、臨床ではより表層にある外頸静脈の怒張をみています。

頸静脈怒張の確認方法

内頸静脈よりに表層にある外頸静脈を観察します。

上半身を45度起こして外頸静脈が怒張するか否かで確認します。

基本的に右心系の循環異常が見られない方では上半身を45度以上起こしている座位や立位、歩行などでは頸静脈怒張は認めにくいです。

頸静脈怒張が見られる疾患

頸静脈怒張は右心系の循環異常がある、つまり右心系の異常が見られる疾患ということになります。

右心系に異常がみられる疾患の例

三尖弁狭窄症

三尖弁閉鎖不全症

心タンポナーデ

収縮性心膜炎

上大静脈症候群

右心不全を来した呼吸器疾患(代表的なものは肺気腫)など…

Kussmaul(クスマウル)徴候

通常、頸静脈怒張は吸気時に右心への静脈還流が増加するため、頸静脈怒張は軽減します。

しかし、右室の拡張障害(重篤な右心不全、、収縮性心膜炎、右室梗塞など)がある場合、増加した静脈還流が停滞するため、むしろ吸気時に怒張は増強します。

このことをKussmaul(クスマウル)徴候と言います。

頚静脈怒張の動画も参考に見てみてくださいね(^^)↓

頸静脈怒張

手指冷感とは

末梢の循環状態を把握するためには最も末梢である手足(運動中は足は触れにくいので主に手指)の冷感を見ることが簡便です。

末梢循環が悪くなると手足は冷たくなり、肺うっ血が生じると手足は湿潤した状態となります。

つまり、手足が冷たく湿っている状態は重篤な循環不全の可能性があるため、注意する必要があります。

手指冷感の動画も参考に見てみてくださいね(^^)↓

手指冷感

運動時に運動前・中・後の変化を比較~重要な視点~

理学療法士にとって臨床で重要な視点をお話しします。

様々な教科書に頸静脈怒張や手指冷感について載っていますが、基本的に安静時について書かれています。

ただ理学療法士にとっては安静時だけでなく、運動時こそ、この頸静脈怒張や手指冷感をみてもらいたいです。

頸静脈怒張は右心系の、また手指冷感は末梢の循環障害がある時に見られますが、運動前・中・後で右心系や末梢の循環状態が変化することは十分に考えられ、安静時に頸静脈怒張や手指冷感が認められなかった方が運動中や運動後には認められることもよく経験します。

運動に伴って刻々と変わりゆく循環状態をその度ごとに血圧測定や脈拍をとることは現実的ではありません。

測定している間に循環状態が変わってしまうということもあり得ます。

なので、運動前・中・後に頸静脈怒張や手指冷感を確認し、運動を継続するのか、一旦休むのか、それとも中止するのか、という判断材料の一つにして頂ければと思います。

あくまで判断材料の一つであり、頸静脈怒張だけ手指冷感だけ見ていればよいということではありません。

必ず他のバイタルサインや身体所見と併せて総合的に判断してくださいね。

実際の症例を通して今までの知識をおさらいしましょう!

2本の症例提示の動画を参考に見てみてくださいね(^^)↓

症例提示②
症例提示③

まとめ

今回は頸静脈怒張と手指冷感についてでした。

まとめ

✔頸静脈怒張は右心系への静脈還流が障害されることで起こり、右心系に循環異常が見られる疾患でみられる。

✔頸静脈怒張の観察方法は上半身を45度起こして外頸静脈が怒張するか否かで確認。

✔Kussmaul(クスマウル)徴候は右室の拡張障害がある場合にみられ、吸気時に増加した静脈還流が右室の拡張障害により停滞するため、むしろ吸気時に怒張が増強することをいう。

✔手指冷感は末梢循環が障害されることで起こる。

✔安静時だけでなく運動前・中・後に頸静脈怒張や手指冷感の変化を捉えることでおおよその右心系や末梢の循環状態を捉えることができる。

以上、頸静脈怒張と手指冷感についてでした。

頸静脈怒張と手指冷感についてすぐに使える視点・注意点!

☑安静時はもちろんのこと、運動前・中・後も頸静脈怒張や手指冷感を確認し、他のバイタルサインや身体所見と併せて右心系や末梢の循環状態を確認することで、運動の継続や休憩、中止のタイミングの指標にする。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

ご質問やご意見などありましたら、お問い合わせから宜しくお願い致します(^^)

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