呼吸リハのすすめのりかです。
今回は呼吸器症状がある方への問診の方法と病歴の聴取についてです。
病院でも施設でも訪問でもセラピストは事前に対象者の情報を得ていても介入する時には、問診や聞き取りを行うと思います。(いきなり無言で体を触るということはないですよね(;^_^)
それぞれの方面(病院や施設や在宅、急性期や回復期や維持期、整形疾患や中枢疾患や内部障害など)で問診する内容は微妙に違ってくるかと思います。
今回は呼吸器疾患や呼吸器症状を有する方に対して問診の方法や病歴の聴取について絞ってお伝えします。
他の疾患を合併しているときは今からお伝えする内容だけでは足りないと思うのでそのあたりは疾患などを踏まえた上で問診内容を変更してくださいね。
それでは見ていきましょう!
問診の前に

呼吸器疾患に限らず、他の疾患でも意識してされていると思いますが、私が意識してしていることを中心にまとめました。
オリエンテーション
患者さんやご利用者さんに問診の目的と意義について説明し、どのような事柄を尋ねたいかについて先に説明します。
例えば…

あなたのお体のことや生活について知らないままリハビリをすると、リハビリの効果がないだけでなく、危険を伴うこともあります。
リハビリをする前にお体や病気、生活のことなど聞いていきますね。
いろいろプライベートなことまで聞かれるのに、なぜ聞かれるのか?リハビリと関係あるのか?がわからないままだと不信感が湧きますよね。
反対の立場に立てば容易に想像できると思います。
ここで問診の意義や目的をしっかり理解してもらってください。
場合によっては信頼を勝ち取ることもできますよ。
ご本人から十分に問診できない場合
乳幼児・小児や、意識障害・精神障害のある患者では、ご本人に問診する前にまずご家族や付き添いの方から聴取します。
全身状態が悪い患者の場合は、必要最小限にとどめ、病状が寛解するのを待って後で詳しく聞きます。
ご本人から十分に問診ができる場合でもご家族や付き添いの方がいる場合は、私はご家族や付き添いの方にも聞いています。
ご本人が感じて問診で言われていることと、ご家族がそばで客観的にみて感じておられることが違う場合があるからです。
私はご本人とご家族の両方から情報を得てリハビリする前の参考にしています。
多職種との情報共有
他職種間で重複した問診は患者さんや利用者さんにとって二重の負担を掛けます。
そのためあらかじめ質問内容を分担したり、質問用紙を作成することが望ましいですね。
私は病院時代、医師・看護師・作業療法士と事前に問診する内容や評価する内容を分けていました。
例えば、
医師:各種検査、投薬など、看護師:医療面(内服・HOT使用など)での生活の援助や指導、理学療法士:身体機能面での問診・評価、作業療法士:日常生活面での問診・評価など。
各職種の専門性が生かせる事柄について各々が問診・評価することでより詳しい情報が得られますし、その情報を共有するためには職種間で連携しないと得られませんね。
病歴の聴取

以下の内容はご本人からだけでなく、医師や看護師からも初診までの経緯が聞けることも多いので可能ならば事前に聞いておきましょう。
現病歴
現在治療を受けている疾患について、受診するきっかけとなった時から現在までの経過を聞きます。
既往歴
患者が過去にかかった疾患、その状態・治療の経過について聞きます。
例えば、過去に脳血管疾患により麻痺がある人ない人、転倒により大腿骨頸部骨折をしたことがある人とない人…などではリハ内容や指導は変わってきますよね。
呼吸器疾患であれば、肺炎(感染性肺炎?誤嚥性肺炎?)、胸膜炎、喘息(薬でコントロールできているか?)、気管支炎、肺気腫(現在も喫煙しているか?)、結核の既往(排菌していないかどうか?)についても聞きます。
1日に何本、いつから吸い始めたか?現在も吸っているのか?いつ止めたのか?吸ったことがないか?について聴取します。
●Blinkman指数=1日平均喫煙量(本)×喫煙年数(年)
1~200本:軽度喫煙者
201~600本:中程度喫煙者
601本~:重度喫煙者
*400以上で肺癌や虚血性心疾患、動脈硬化性心疾患のリスクが高くなると言われています。
また、感冒に罹患する頻度も聞いておきます。
感冒の罹患頻度が高ければ急性増悪を起こす可能性も高くなるので感冒を予防したり早期に気付くことができるように指導することも大事になってきますね。
心血管系では、高血圧、心筋梗塞、うっ血性心不全の既往を問診します。
心筋梗塞や心不全では特に循環系にも気を配りながらリハビリをする必要がありますね。
家族歴
家族や近親者がかかった疾患や、かかっている疾患の経過、死因などを確認します。
現在、ご家族が感染症にかかられているならご本人に感染している可能性もありますね。
まとめ
今回は呼吸器症状がある方への問診の方法と病歴の聴取についてでした。
✔オリエンテーションで問診の目的と意義について説明する。
✔ご本人以外にもご家族や付き添い人からも情報を得て、多職種とはご本人の負担にならないよう情報の共有を図る。
✔病歴の聴取では、現病歴・既往歴・家族歴について聞く。
以上、呼吸器症状がある方への問診の方法と病歴の聴取についてでした。
☑患者さんや利用者さんから不信感を持たれないようオリエンテーションを行う(できれば信頼を勝ち取る)。
☑ご本人が問診できる状態でもご家族や付き添い人がいればその方々からも聴取しそばにいる方の客観的情報も得る。
☑多職種と連携し、患者さんや利用者さんに効率よく負担なく幅広く情報を得る。
☑現病歴、既往歴、家族歴では呼吸器疾患に関することはもちろん、それ以外の情報も得ることで今後のリハ内容も各個人に合ったものにできる。
☑呼吸器疾患の方に対しての問診で喫煙の有無は必須!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ご質問やご意見などありましたら、お問い合わせから宜しくお願い致します(^^)
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