今回は熱中症についてです。
体温の基礎知識を理解していると熱中症に関する理解もしやすいですね。
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熱中症対策についていろいろな情報が飛び交っている中、「熱中症が起きるのは日本は暑いから仕方がない…」ではなく、「人災だ」と捉えて積極的に予防していくことが大事だと思います。
私が病院時代に実際に経験した症例です↓
臨床(特に訪問など)や日常生活でもよく出くわすことがあるのでこれを機会に知識を整理しておきましょう!
熱中症の原因
日本では夏が近づくと熱中症に関するニュースが増えますが、そもそも熱中症とは何でしょうか?
高温の環境に身体が適応できないことによって起こる様々な障害の総称。
原因には以下の3つの要素が絡み合っていると言われています。
①身体
②環境
③行動
①身体要因
体温の基礎知識でも述べましたが、ヒトの体は体温を一定に保つために熱を産生する仕組みと熱を放散する仕組みがあります。
熱の産生は、代謝・運動・筋肉のふるえなどです。
また熱の放散は、放射(輻射)、伝導(対流は空気層への伝導)、蒸発によって起こります。

熱の産生と熱の放散のバランスが崩れ、体にどんどん熱がこもってしまう状況になると熱中症になりやすくなります。
例えば、激しい運動をする(熱産生)が水分摂取をしないままだと汗をかくこと(発汗による蒸発=熱放散)ができず、どんどん体に熱がこもってしまうなどの状況が起きてしまいますね。
先ほどのツイートの例だと、『水分摂取を許されず(発汗による蒸発=熱放散ができず)、働かされる(熱産生)』ですね。
②環境要因
周りの環境(気温や湿度、風の有無など)がヒトの体から熱の放散をしにくくしている状況であればやはり体にどんどん熱がこもってしまいます。

周りの気温が高いと輻射や空気層への伝導は起こりにくいですし、湿度が高いと発汗しても蒸発しにくくなります。また風がないと空気層へ伝導した熱が対流しにくくなりますね。
ツイートの例だと、『連日37度以上の職場(周りの気温が高すぎて輻射や空気層への伝導が起こりにくい)』にあたりますね。
③行動要因
どのような行動をしていたかによっても熱中症になりやすいかどうかが変わってきます。
熱産生をし過ぎていたり熱放散をしにくくしているような行動では、体にどんどん熱がこもってしまいます。
例えば、激しい運動や長時間の屋外行動(熱産生をし過ぎている)や水分補給ができない状況(発汗による熱放散がしにくい)ではどんどん熱がこもってしまう状況になりますね。
ツイートの例だと、『水分補給を許されず(発汗による熱放散がしにくく)、働かされる(熱産生をし過ぎている)』にあたりますね。
ツイートの例の方は、①身体、②環境、③行動の熱中症の要因のすべてにあてはまり、熱中症になるべくしてなったと言えると思います。
後日談にはなりますが、職場のスタッフから「職場の気温を適切にしてほしい、水分補給をさせてほしい、休憩を頻回に入れたい」と訴えが頻回にあったようですが、職場の管理者の方は聞き入れなかったようです。
知識があり適切に行動すれば防げた熱中症は『人災だ』と言われても仕方がないのではないでしょうか?
熱中症対策

熱中症の対策は、一言で言ってしまえば①身体、②環境、③行動の熱中症を起こす要因を取り除くことです。
つまり、熱の産生を抑え熱の放散を促進させるような身体・環境にし、そのような行動をするということです。
・水分や塩分を摂取する(発汗では水分だけでなくミネラル分も体の外に出て電解質異常になるので補給をする)。
・涼しい服装を心掛ける。
・涼しい環境にする(エアコンの使用、日陰へ移動など)。
・暑い日には激しい運動をしない。
・暑い日には長時間屋外で行動しない。
などなど…。
医療従事者が知っておくだけでなく、ご利用者さんや患者さんにも熱中症について知ってもらい予防することが非常に大事になってきます。
厚労省では熱中症に関するパンフレットを作成したり情報をのせていますので一度確認してみてくださいね。
【外部リンク】厚労省 熱中症関連情報
WBGT(暑さ指数)とは

熱中症について調べていくとWBGT(暑さ指数)という単語が出てきます。
暑さ指数(WBGT;Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球湿度)
熱中症を予防する目的として1954年にアメリカで提案された指標。
単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されるが、その値は気温とは異なります。
人体と外気との熱のやりとりに着目した指標であり、①湿度、②日射・輻射など周辺の熱環境、③気温の3つを取り入れた指標。
単なる気温だけでなく、湿度や周辺の熱環境も取り入れた指標なので熱中症の予測に使えますね。
【外部リンク】環境省の熱中症予防情報サイトに毎日のWBGT(暑さ指数)がのっており、日常生活に関する指針・運動に関する指針・作業者に関する指針ものっています。
熱中症予防のためにぜひ活用してくださいね!
まとめ
今回は熱中症について見てきました。
✔熱中症とは、高温の環境に身体が適応できないことによって起こる様々な障害の総称。
✔熱中症の要因には、①身体要因、②環境要因、③行動要因があり、3つの要因が絡み合っている。
✔熱中症対策は、熱の産生を抑え熱の放散を促進させるような身体・環境にし、そのような行動をすることである。
✔WBGT(暑さ指数)とは、人体と外気との熱のやりとりに着目した指標であり、①湿度、②日射・輻射など周辺の熱環境、③気温の3つを取り入れた、熱中症予防に役立つ指標である。
以上、熱中症についてでした。
☑セラピスト自身が熱中症について知るだけでなく、患者さんや利用者さんにも熱中症について知ってもらい、予防してもらう。
☑厚労省や環境省などからも熱中症に関する情報が出ているので、活用し熱中症予防に役立てる。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ご質問やご意見などありましたら、お問い合わせから宜しくお願い致します(^^)
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