発熱はなぜ起こる?発熱がなければ問題ない?

基礎知識

前回は体温の基礎知識について述べました。

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今回は体温が正常から逸脱している状態である発熱(高体温)について述べていきます。

発熱はなぜ起こるのでしょうか?

発熱がなければ問題ないのでしょうか?

それでは一緒に見ていきましょう!

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発熱の仕組み

結論を言うと、

自分自身の体の反応によりセットポイントが変更されて発熱しているということです。

体温上昇は主に発熱物質パイロジェン(pyrogen)が体温調節中枢に作用しセットポイントを上昇するためと考えられています。

発熱の機序

①外因性発熱物質は細菌やウイルスや菌類、崩壊した組織からのリポ多糖類(LPS)であり、これが白血球に取り込まれると内因性発熱物質パイロジェンが生成されます。

②ただし、この内因性発熱物質パイロジェンは血液脳関門を突破できないため、このままの形では視床下部に情報を伝達できません。

③そこで内因性発熱物質パイロジェンは前視床下部に作用して血液脳関門を突破できるプロスタグランジンE2(PGE2)を放出させます。PEG2が最終的な発熱物質です。

④この発熱物質が血液脳関門を突破し視床下部に働きかけます。

⑤そして視床下部から体の各器官に体温を上昇させるよう指令を出します。

⑥体の各器官が指令を受けて血管収縮・ふるえ・立毛筋収縮・アドレナリン放出などといった反応をし発熱します。

発熱中もフィードバック機構は正しく働いてます。

セットポイントの上昇に対してはふるえや血管収縮で、降に対しては発汗や血管拡張で応じ、時間的にやや遅れて体温をセットポイントに等しくします。

また炎症反応時の発熱には重要な意味があり、体温の上昇は生体防御や治癒過程を促進するために必要な現象です。

動画でも話しています⇓

体温④発熱の仕組み

発熱の原因

発熱の原因は、大きく分けて5つ。

発熱の原因

①感染症による発熱

②悪性腫瘍による発熱

③自己免疫疾患・アレルギー疾患による発熱

④薬剤、輸血の副作用としての発熱

⑤中枢性発熱

いずれも「内的要因」によるものだと頭に入れておきましょう!

参照

うつ熱:周辺環境の暑さなど『外的要因』によっておこるもの。外的要因を取り除けば解熱する。

上記のように、「高体温」の一種である「発熱」にはいろいろな原因があります。

どのような原因であっても共通しているのは、自分自身の体の反応によりセットポイントが変更されて発熱しているということです。

発熱がなければ問題がないの?

今まで発熱の仕組みや原因について述べてきましたが、発熱がないのは良いことなのでしょうか?

結論からいうとそうとは限りません。

私が臨床でよく遭遇したのは誤嚥性肺炎を起こしていても発熱が起こらない人です。

いつもと様子がおかしい、食欲がない、いつもより息苦しそう…などご家族はいつもとちがうとの異変に気付きますが、発熱していないために特に病院を受診しなくて良いだろうということで見過ごされてきた人を何人も見てきました。

高齢者などでは病原菌と戦うといった免疫機能が低下していることがあります。

免疫機能が低下していると発熱の仕組みの①で説明したようなことが起こらないので発熱せず、体の中に病原菌が入ってきてもシグナルを出せないし病原菌と戦えないということになります。

必ずしも発熱がない=問題がないではないので体温が平熱だからOKではなく他の所見やご本人・ご家族の訴えも聞いて総合的に判断してくださいね。

動画でも話しています⇓

体温⑤発熱の原因~発熱なければ問題なし?~

まとめ

今回は発熱について述べてきました。

まとめ

✔発熱の仕組みは主に発熱物質パイロジェン(pyrogen)が体温調節中枢に作用しセットポイントを上昇するために起こると考えられている。

✔発熱の原因には、感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患・アレルギー疾患、薬剤、輸血の副作用、中枢性の5つがあり、すべて内的要因によるものである。

✔発熱なし=問題なしでは必ずしもないので他の所見と総合的に判断する。

以上、発熱についてでした。

体温についてすぐ使える視点・注意点!

☑平熱は個人差があるのでその人の平熱を知っておく(あらかじめ問診で聞いておくのも良い)。

☑平熱から+1度以上で発熱と判断(うつ熱は除外)。

☑発熱があれば原因検索→場合によっては受診を勧めたり、医師に上申する。

☑発熱がなくても必ずしも問題ないとは限らないので他のフィジカル面での変化もとらえる。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

ご質問、ご意見などありましたらお問い合わせより宜しくお願い致します!

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