ちょっと待って!何も考えずに浮腫を軽減していませんか?

基礎知識

今回は浮腫についてです。

臨床で疾患に関わらず浮腫が認められる患者さんや利用者さんにリハビリをすることはあるかと思います。

その際、リハをする前に浮腫があればやみくもに徒手的に浮腫を軽減するセラピストを見かけることがあります。

それって本当に問題ないのでしょうか?

この記事では浮腫に関する基礎的な知識を得たうえで臨床で押さえておきたい点について述べたいと思います。

それでは見ていきましょう!

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浮腫とは

浮腫とは何でしょう?

浮腫とは

細胞外液のうち組織間液が異常に増加した状態

参照)

細胞外液とは細胞外に存在する体液の総称。血漿と組織間液(間質液)より構成される。

細胞外液は主に体重の20%(血漿:5%、組織間液:15%)。

浮腫の範囲による分類と主な疾患

浮腫が起こっている場所によって、全身性浮腫局所性浮腫に分類されます。

全身性浮腫

全身性浮腫とは全身に浮腫が起こるものを言います。

全身性浮腫と主な疾患

●心性(うっ血性心不全)

●肝性(肝硬変、門脈圧亢進症)

●腎性(急性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全)

●栄養失調性(アルコール依存症、飢餓、悪性腫瘍)

●内分泌性(甲状腺機能低下症:粘液水腫)

●妊娠性(正常妊娠、妊娠高血圧症候群)

●薬物性(NSAIDs、ホルモン療法薬、降圧薬)

●特発性

臨床でのちょっとしたコツ👆

全身性浮腫の場合、通常浮腫に気付く前に体重増加が先行します。

全身性浮腫が見られる主な疾患を有している方を担当する時は、体重の推移を追うようにすることで早期に疾患の増悪に気付くことがあります。

特に私が訪問リハに従事していた時は、上記疾患を有している方に関しては毎回体重測定をしたり、訪問日以外でも体重を記録して頂いたりしていましたね。

動画でも話していますので良ければ見てみてくださいね(^^)!

浮腫①全身性浮腫

局所性浮腫

局所性浮腫とは局所的に浮腫が起こるものを言います。

局所性浮腫

●血管性(上・下大静脈症候群、静脈血栓症、静脈瘤)

●リンパ管性(本態性リンパ性浮腫、リンパ管閉塞)

●炎症性(関節リウマチ、痛風、熱傷)

臨床でのちょっとしたコツ👆

局所性浮腫の場合は浮腫が起こっている部位の周径などを測定しておくと浮腫の経過(その部位での浮腫の増減)がわかるかと思います。

ただし、浮腫は移動することがあるのである部位の浮腫が軽減したと喜んでも他の部位に浮腫が移動しただけということもあります。

局所性浮腫であっても局所だけでなく、全身に目を配るようにしてくださいね。

動画でも話していますので良ければ見てみてくださいね(^^)/

浮腫②局所性浮腫

特徴的な浮腫を起こす主な原因疾患

臨床で出くわすことが多い、特徴的な浮腫の主な3つの原因疾患についてまとめておきましょう!

心性疾患の場合

●下肢に著明となる傾向(通常は左右対称)。顔面や上肢には起こりにくい。

●生活活動と関連。夕方に増悪しやすい。

●体の中で最も低い部分に浮腫が起こりやすい。

肝性疾患の場合の浮腫の変化

●腹水から始まり、次に下腿浮腫も併発し、最後に全身浮腫への経過をたどることが多い。

腎性疾患の場合

●眼瞼や顔に浮腫が起こりやすい。

動画でも話していますので良ければ見てみてくださいね(^^)/

浮腫③特徴的な浮腫を起こす主な原因疾患

浮腫の性質による分類

圧痕浮腫非圧痕浮腫に分類されます。

圧痕浮腫

圧痕浮腫

●浮腫のある部分を押さえつけたあとに放置しても圧痕を残すもの。

例)心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変、薬剤性など。

非圧痕浮腫

非圧痕浮腫

浮腫のある部分を押さえつけたあとに放置しても圧痕を残さず弾性を持つもの。

例)甲状腺機能低下症による粘液水腫、好酸球性血管性浮腫、リンパ水腫など。

臨床でのちょっとしたコツ👆

今までおさらいしてきた全身性か局所性か?特徴的な浮腫か?圧痕か非圧痕か?と既往歴や現病歴を照らし合わせると目の前で出現している浮腫の原因が絞られてきますね。

浮腫④圧痕浮腫と非圧痕浮腫

浮腫の治療

緊急性がなければ基本的には治療は不要で、浮腫を起こしている原疾患の治療の方が重要です。

浮腫自体の対症療法としては、ナトリウムの制限水分摂取の制限利尿薬の投与などがあります。

尿量観察の目的で膀胱留置カテーテルが挿入される場合もあります。

臨床でのちょっとしたコツ👆

リハをする前に浮腫があればどのような疾患でも徒手的に浮腫を軽減してから歩行練習などをするセラピストを見かけることがあります。

浮腫を軽減させる前に『本当に浮腫を軽減させて良いかどうか?』を一度を考えてくださいね。

例えば、心性の浮腫であれば歩行練習前に下肢などの浮腫を軽減させると軽減した浮腫の分だけ静脈還流が増えて心臓に負担をかけることもあります。わざわざ心臓に負担をかけてから歩行練習しなくても…と思いますよね。

逆に非常に重度のリンパ浮腫があり、浮腫が原因でADLに支障が出ている場合は浮腫を軽減させることは重要になってきます。

浮腫を軽減しても良い原因疾患なのか?軽減しないといけない疾患なのか?また、同じ原因疾患でも重症度に応じて浮腫を軽減させるべきか否かは変わってきます。

目先の浮腫という状態にとらわれて原因疾患をセラピスト自らの手で悪くするようなことがないようにしたいですね。

やはり浮腫に関しても原因疾患の理解や把握は大事ですね。

動画でも話していますので良ければ見てみてくださいね(^^)/

浮腫⑤浮腫の治療

まとめ

今回は浮腫についてでした。

まとめ

✔浮腫とは細胞外液のうち組織間液が異常に増加した状態。

✔浮腫は起こっている場所の違いによって全身性浮腫(心性、肝性、腎性、栄養失調性、内分泌性、妊娠性、薬物性、特発性)と局所性浮腫(血管性、リンパ管性、炎症性)、浮腫の性質によって圧痕浮腫と非圧痕浮腫に分類される。

✔浮腫は基本的には緊急性がなければ治療は不要で原疾患の治療が重要である。

以上、浮腫についてでした。

浮腫についてすぐに使える視点・注意点!

全身性浮腫の場合は通常浮腫に気付く前に体重増加が先行するので、体重の推移を追うことで早期に疾患の増悪に気付くことがある。

☑局所性浮腫の場合は浮腫を起こしている部位の周径などを計測することで浮腫の経過を追えるが、浮腫が移動することもあるので局所だけでなく広範囲に目を配る。

☑全身性か局所性か?特徴的な浮腫か?圧痕か非圧痕か?と既往歴や現病歴を照らし合わせると浮腫の原因がある程度絞られる。

☑リハビリで浮腫を軽減させる前に、浮腫を起こしている原疾患やその疾患の重症度から本当に浮腫を軽減させても良いかどうか考え、原疾患を増悪させないという視点を持つことも重要である。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

ご質問やご意見などありましたら、お問い合わせから宜しくお願い致します(^^)

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