呼吸リハのすすめのりかです。
今回は咳の発生機序と問診のポイントについてです。
呼吸リハビリを受けている患者さんや利用者さんには咳をされる方もいますよね。
咳がひどすぎて日常生活に影響を及ばすほどの不便をもたらしている場合は別ですが、咳は必要以上に抑え込まない方が良いことも多いです。
ここでは咳の発生機序と問診のポイントについて説明します。
それでは見ていきましょう!
咳とは
咳の役割と何でしょうか?
気道内の異物や喀痰などを排除して気道内を清掃する正常な生体防御反射。
咳の効果は第5次気管支より中枢気道に作用。
咳が出ると悪いものというイメージがあるかもしれませんが、細菌や異物などから体を守ろうとする生体防御反射であることを考えると安易に咳を抑え込むというのは良くないというのがわかりますね。
ただし、咳が頻回に出ると重度の呼吸不全の方だとかなり体力を消耗しますし、消費エネルギーもかなりのものになります。(咳1回で消費エネルギーは2kcalと言われています。)
患者さんや利用者さんの体力と咳嗽がなぜ出ているかを推察しながらコントロールしたいですね。
咳嗽反射のメカニズム

咳嗽反射のメカニズムは①咳の誘発、②深い吸気、③圧縮、④速い呼気の4相に分けられます。
①咳の誘発:何らかの刺激により咳嗽反射が誘発されます。
②深い吸気:流速を速くして呼出するためには肺気量を多くする必要があるため、必ず深い吸気があります。
③圧縮:流速を高めるため肺の中の空気を圧縮します。
④速い呼気:圧縮により圧が高められた空気を一気に素早く呼出します。
咳嗽というと呼気をイメージするかと思いますが、速い呼気の前に必ず深い吸気と圧縮の相があります。
セラピストが咳の介助をしたり、周術期で咳嗽の指導をする時に単に速く呼出させるだけでなく、必ず深い吸気をし圧縮するよう介助・指導するのがポイントとなる点ですね。

また、咳嗽や強制呼気の際、気流に伴う内圧変化により気道内圧と気道にかかる側圧が等しくなる点(等圧点)が起こります。この点よりも口側(中枢側)では胸腔内圧の上昇により気道が狭小化(チョーキングポイントと呼びます)し、気流速度は局所的に最大となり、気道内分泌物の喀出に作用します。
ホースの断面を潰しぎゅっと細くすると水は勢いよく出ますよね。チョーキングポイントとはぎゅっと細くつぶしたホースのイメージですね。
チョーキングポイントは肺気量の増加で中枢へ、肺気量の減少で末梢に移動すると言われています。
呼出するスピードが速ければ速いほど素早く末梢にまでチョーキングポイントは到達し、また呼出流速もさらに速くなるため気道内の分泌物を勢いよく吹き飛ばすことができるようになります。
呼出するスピードを速めるためには、やはり速い呼気だけでなくその前の深い吸気と圧縮が非常に重要になってきます。
問診のポイント
咳嗽に対する問診のポイントです。
●いつ、どのようなきっかけで咳がおこるのか?また咳の頻度。
●痰を伴うのか(湿性咳嗽)?伴わないのか?(乾性咳嗽)
●咳の力は強いのか?弱いのか?
●反射による咳と意図的な咳を観察する。
●意識障害がある場合は、気管圧迫法で誘発してみる。
●喫煙などの刺激に関係しているのか?咳を止める薬を服用しているのか?
患者さんや利用者さんがリハビリ中に咳をされた場合、上記の問診のポイントの上から4つを確認するようにしましょう!
まとめ
今回は咳の発生機序と問診のポイントでした。
✔咳とは気道内の異物や喀痰などを排除して気道内を清掃する正常な生体防御反射のことで咳の効果は第5次気管支より中枢気道に作用する。
✔咳嗽反射のメカニズムには、①咳の誘発、②深い吸気、③圧縮、④速い呼気がある。
✔咳の呼気気流による気道内分泌物の移動には、、等圧点より中枢側にあるチョーキングポイントにより気流速度が局所的に最大となることで気道内分泌物の喀出に作用する。
✔咳は問診のポイントを参考に評価する。
以上、咳の発生機序と問診のポイントでした。
☑咳は生体防御反応ではあるが同時に非常に体力も消耗するので、患者さんや利用者さんの体力と咳嗽がなぜ出ているかを推察しながらコントロールしたい。
☑セラピストが咳の介助をしたり、周術期で咳嗽の指導をする時には単に速く呼出させるだけでなく、必ず深い吸気をし圧縮するよう介助・指導する。
☑患者さんや利用者さんがリハビリ中に咳をされた場合、問診のポイントを参考に観察する。
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