前回、実際に私が遭遇した症例を提示しました。
今回は症例提示1のその後の経過と私がどのように行動したかについてです。
前回の記事を読まれていない方はぜひ先に前回の記事を読んでくださいね。
それでは、一緒に見ていきましょう!
その後の経過と私がとった行動
(前回からの続き)
酸素流量1.5Lで呼吸介助併用するもご本人の状態は変わらず。

主治医は病室に来られないですかね?

主治医から外来で急変者がおり手が離せる状況ではないため、病室にはすぐに来れないとの返事がありました。

この方はⅡ型の呼吸不全があり、CO2ナルコーシスが懸念されるため安易に酸素流量を上げたくないのですよね…。
担当看護師以外の他の日勤看護師にもⅡ型の呼吸不全なので安易に酸素流量を上げずにSpO2だけでなく、意識レベルも確認するよう周知していただけますか?
早速動いて頂き、SpO2、HR、心電図をモニタリングしながら酸素流量を医師の指示範囲内で慎重に調節し(最大酸素流量3Lまで)、担当看護師に1時間ごとに訪室していただく。
私はその日のルーティンのリハ(入院当日は評価など)は行わず、他の患者さんのリハの合間に度々訪室し、評価を続行。状態は大きく変わらず。
また担当作業療法士(呼吸の教育入院の際は必ず介入することになっている)に状況を伝え、その日のルーティンのリハは行えないこと伝えました。
私の他の患者さんのリハが終わり、最後にご本人の病室を訪問する。

主治医はまだ訪室されていません。

主治医の先生はまだ来てないね…。
1時間ほど前に訪室した時よりさらに酸素化が悪く、意識レベルも悪くなっている(刺激してもうっすらとしか開眼しない)。

(すぐに主治医にコールし、身体状況の経過と現在の状況を報告する。)
危険な状態なのですぐに主治医の先生が対応することが無理なら他の医師で対応していただきたいです。
お願いします。
上記の経過を日勤の看護師から夜勤に申し送る場に私も同席し夜勤看護師へ説明。
その説明をしているときにCO2ナルコーシスが疑われるとのことで主治医から電話で病棟へNIPPVを用意するよう指示あり。
私自身は主治医が対応し始めたことを確認し、病棟から離れました。
私が病棟を出た後の経過

翌朝に夜勤看護師や主治医から聞いた経過
主治医が外来でまだ手が離せないため、レジデントの呼吸器内科の医師が病棟へ来られ、血液ガスを採取する。
血液ガス結果が出たころに主治医が病室に到着される。
【血液ガスの結果】pH:7.272、PaO2:58.1、PaCO2:81.4、HCO3-:36.9。
重度のCO2ナルコーシスのためNIPPV装着し、CVルートも確保され、夜間はICUへ入室。
翌日、元の病棟に戻られる。
翌日私が訪室したときの状態
NIPPV装着中だが意識ははっきりしており、私が訪室時によろしくお願いしますとはっきり挨拶される。

NIPPV装着がもう少し遅かったら命が危なかったです。
『酸素化不良』と一言で言ってもいろいろな状態が考えられますよね。
客観的な情報を元に適切な評価をし、状態の経過をしっかり伝えて頂けたので、急を要し対応が必要な状態なのだということがすぐにわかりました。
ありがとうございました。
NIPPV離脱から退院まで
NIPPVが外れるまでは教育入院ではなく呼吸の急性増悪後と同様のリハを行い、NIPPVが外れてほぼ入院前のADLまで回復されたら教育入院のプログラムを行いました。
患者さんからの信頼はかなり厚かったのでスムーズにリハが進みました。
リハだけでなく、疾患や急性増悪、酸素流量の順守とCO2ナルコーシスについてご本人とともに奥様にも説明しました。(ものすごく、理解が早かったですね。)
まとめ
今回は症例提示1に関してのその後の経過と私が行動した結果を見てきました。
ちなみに前回の記事のあることとはCO2ナルコーシスのことでした。
同じ状況に出くわしたとき、あなただったらどのように行動していましたか?
何が正解で何が間違いというつもりはありません。
疾患に関する理解、目の前の患者さんがどういった疾患でどういったことに注意し何を評価するのか(リスク管理)、またその評価内容に対してどのように行動するのか、などなど日ごろから考えておく必要はあるかと思います。
患者さんはもちろんですが、自分を守る意味でも。
そのためには最低限の知識は必要かと思いますので、順次記事にしていきますね!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ご質問やご意見などありましたら、お問い合わせから宜しくお願い致します(^^)
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