今回は実際に私が遭遇した症例を提示します。
書くまでもないですが症例提示にあたり注意点です。
●個人やそのご家族を特定できるような情報は出していません。
●私が経験した実際の症例ですが、症例から学んでほしい内容をクローズアップするためすべての情報を載せていないことがあります。
あなたがもしここで提示された患者さんを理学療法士として担当したらどのように対応しますか?
それはなぜですか?
まずは患者さんの情報・状況からみていき一緒に考えていきましょう!
今回の設定
今回の設定です。
☑病院に勤務する理学療法士(=あなた)。
☑呼吸器内科医師からリハ科に呼吸リハビリのオーダーがあり、本日からリハスタート予定。
☑患者さんは当院で呼吸リハビリの教育入院(3週間)を受けるために本日午前中に入院。
一般的には急性増悪などで緊急入院するのではなく、比較的病状が安定しているときに入院します。
完治する病気ではない呼吸器疾患を有している患者に対して行われ、多職種(医師・看護師・理学療法士・作業療法士・薬剤師・栄養士など)が連携をとり、有している疾患・治療の理解を助け、必要な治療を継続して受けることができるよう支援していきます。
担当医師からの事前情報

【基本的情報】76歳、男性。奥様と二人暮らし。
【性格】几帳面で話し好き。一見すると朗らかだが話してみると自分の考えは曲げない頑固な面あり。
現在は定年されているが数値を扱う職人だったので日々の身体状況も克明に記録している(安静時・労作時の酸素飽和度も記載されている)。
【疾患名】Ⅱ型の呼吸不全(重度の肺気腫)で在宅酸素導入済み。
【現在の酸素流量の設定】睡眠時酸素0.25L、安静時酸素0.5L、労作時酸素1.5L。
【ADL】すべて自立しているが、最近呼吸困難感が増してきており、活動性も低下し歩行能力も低下してきている。
【教育入院の目的】ご本人の記録によると以前よりも労作時の酸素化が悪くなってきているため、安静時・労作時の酸素吸入量も再決定してもらいたいと考えて今回の教育入院を決心した。
【入院後の酸素流量】睡眠時・安静時は医師、労作時は医師と理学療法士が検査・評価をもとに意見を出し合って決定予定。
【入院直後の酸素流量指示】酸素流量は入院前通りだがSpO2が90%以下になれば0.25Lずつ、最大で酸素3Lまであげていくよう指示あり。
病室へ訪室時の状況
午前中に入院ということなので事前にカルテから各種検査結果や医師の指示、看護師からの情報を収集して午後から病室へ訪室。
患者さんはベッドで横になられており、奥様がそばで付き添われている。
奥様に挨拶し、ご本人にも挨拶しようとすると…。

今日はリハビリは無理とちがうかな?

どうかされましたか?

午前中に入院してから様子がおかしくて、さっきからよく眠っているのよ。
ご本人に声掛けすると開眼し返答もするが、刺激がないと閉眼してしまい眠られる。

昼寝はしない人なんだけど…。入院の準備で疲れたのかしら?
全部自分でしないと気が済まない人だから前の日も一日中ごそごそしていたのよ。
奥様の話を聞きながらベッドサイドの酸素流量計に目をやると酸素流量は医師の指示の最大値である3Lになっている。

奥様、酸素流量3Lになっていますが誰か酸素流量を変更しましたか?

看護師さんが酸素が低くなっているからと何回かに分けて少しずつ酸素流量をあげていったけど…。
あなた:酸素流量を安静時の医師の指示通り酸素0.5Lへ下げる。
するとすぐにSpO2は80%まで低下。
呼吸介助を行うと呼吸介助の間だけSpO2は80%後半へ上昇。呼吸介助をやめるとすぐに低下。
呼吸介助を併用しながら医師の指示通り0.25Lずつ酸素流量をあげていき、(普段の労作時の流量である)酸素流量1.5LまであげるもSpO2は90%以上にはならず。
この時点で医師の指示ではまだ酸素流量をあげる余力(最大3Lまで酸素流量は上げてよい)はあるが、あることが懸念されたため呼吸介助を行いながらナースコールで看護師を呼んだ。

医師の指示通り、SpO2が90%以下だったので最大の酸素3Lまで徐々に上げていったんですけど、酸素流量を上げていってもなかなかSpO2は上がらず90%以下だったのでどうしたらよいか医師に連絡を取っているところだったんです。
患者さんは呼吸介助などの刺激がある時は開眼し声掛けに応答もするが、刺激がないと閉眼してしまう状態。
状況を思い浮かべシミュレーションしてみてください

さて、この場面であなたならどう行動しますか?
それはなぜですか?
自分ならこう対応するとこの状況を思い浮かべシミュレーションしてみてください。
今回はすぐに私がどう行動したかを提示する前にあなたに考えてもらいたいのでここまでです。
ヒントは私が懸念していたあることとは何かを考えると考えやすいかもしれません。
私がどのように行動し、この患者さんがどうなったかは次の記事を参照してくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ご質問やご意見などありましたら、お問い合わせから宜しくお願い致します(^^)
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