呼吸器疾患でも意識レベルは重要!他職種に正確に意識レベルの変化を伝えられますか?

基礎知識

今回は意識レベルの基礎知識についてです。

臨床では特に中枢疾患などの患者さんにリハビリをしているセラピストは意識レベルが低い方に遭遇することが多いと思います。

呼吸器や循環器疾患でも意識レベルが低くなることがあります。

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普段、意識レベルの低い方に接している方もそうでない方もこの機会に意識レベルに関して基礎的なことを押さえておきましょう!

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意識とは?

まず『意識』とは何でしょうか?

意識とは?

●起きている状態にあること(覚醒)。

●自分の今ある状態や、周囲の状況などを認識できている状態のこと(認知)。

●認知を元に自己を周囲の状況に対して表出すること(反応)。

意識障害とは、覚醒・認知・反応といった機能が低下した状態です。

覚醒は脳幹の上行性網様体賦活系(ARAS)が、認知は大脳皮質が関わっています。

特に覚醒しないということは、脳幹の障害や広範囲の大脳皮質の障害を意味するので緊急を要する事態だということがわかりますね。

臨床でのちょっとしたコツ👆

担当患者さんや利用者さんの普段の覚醒レベルを知っておき、普段と違うことに気付くことは大事ですね。

意識障害を引き起こす疾患や異常

意識障害を引き起こす疾患や異常には以下のようなものがあります。

意識障害を引き起こす疾患や異常

頭蓋内病変:大脳や脳幹を直接障害する頭蓋内疾患。

(例)脳血管障害、脳腫瘍、脳外傷、脳炎、髄膜炎など。

全身性病変:脳神経機能を二次的に障害させる様々な全身性の異常。

(例)呼吸器・循環器疾患による脳の低酸素、CO2ナルコーシス、電解質・浸透圧異常、糖代謝異常、内分泌異常、薬物中毒など。

臨床でのちょっとしたコツ👆

担当患者さんや利用者さんの現病歴や既往歴に上記のような意識障害を引き起こす障害や異常がないかを事前に把握しておきましょう!

呼吸器・循環器疾患に特有の意識障害では低酸素やCO2ナルコーシスがあげられます。

意識レベルの判定

意識レベルを評価する際には単純に意識レベルの判定だけを行うのではなく、バイタルチェック(体温、血圧、酸素飽和度、脈拍など)や情報収集(現病歴・既往歴など)を行いながら評価する必要があります。

ここでは意識レベルの判定に使われている主な2つの評価法について説明します。

医療者間で患者さんや利用者さんの意識レベルがどのように変化したかを簡便に伝えるには良い評価法かと思います。

覚えてくださいね!

Japan Coma Scale(JCS:ジャパン・コーマ・スケール)

Japanと名付けられている通り、日本の救急現場でよく使われている評価法です。

救急を題材にしたドラマでも「意識レベル100」など言われていますが、その時に使われている評価法ですね。

特徴

短時間で簡便に意識レベルの評価ができる。

間脳・中脳・延髄への侵襲の目安として判定しやすい。

救急でよく用いられる。

JCS:Japan Coma Scale

Ⅰ.覚醒している(1桁で表現)

0:意識清明

Ⅰ-1:見当識は保たれているが意識清明ではない(1)

Ⅰ-2:見当識障害がある(2)

Ⅰ-3:自分の名前・生年月日が言えない(3)

Ⅱ.刺激に応じて一時的に覚醒する(2桁で表現)

Ⅱ-1:普通の呼びかけで開眼する(10)

Ⅱ-2:大声で呼びかけたり、強く揺するなどで開眼する(20)

Ⅱ-3:痛み刺激を加えつつ、呼びかけを続けるとかろうじて開眼する(30)

Ⅲ.刺激しても覚醒しない(3桁で表現)

Ⅲ-1:痛みに対して払いのけるなどの動作をする(100)

Ⅲ-2:痛み刺激で手足を動かしたり、顔をしかめたりする(200)

Ⅲ-3:痛み刺激に対して全く反応しない(300)

*R(不穏)・I(糞便失禁)・A(自発性喪失)がある場合、JCSⅢ-2-Rなどと表す。

Glassgow Coma Scale(GCS:グラスゴー・コーマ・スケール)

世界的に通用する評価法になります。

特徴

開眼・最良言語反応・最良運動反応の3側面の総和で評価

やや複雑で、1項目でも判定が困難な場合は意味をなさないという問題点もあり。

GCS:Glassgow Coma Scale

開眼機能(Eye opening):E

4点:自発的に、または普通の呼びかけで開眼

3点:強く呼びかけると開眼

2点:痛み刺激で開眼

1点:痛み刺激でも開眼しない

最良言語反応(Best Verbal response):V

5点:見当識が保たれている

4点:会話は成立するが見当識が混乱

3点:発語はみられるが会話は成立しない

2点:意味のない発声

1点:発語見られず

*挿管などで発声ができない場合は『T』と表記。扱いは1点と同等である。

最良運動反応(Best Motor response):M

6点:命令に従って四肢を動かす

5点:痛み刺激に対して手で払いのける

4点:指への痛み刺激に対して四肢を引っ込める

3点:痛み刺激に対して緩徐なな屈曲運動(除皮質姿勢)

2点:痛み刺激に対して緩徐な伸展運動(除脳姿勢)

1点:動き見られず

*表記例)GCS:E2.V3.M5など。

動画でも説明していますので良ければ見てみてくださいね(^^)↓

意識レベル①意識レベルの評価
意識レベル②意識障害を起こす疾患や異常
意識レベル③呼吸・循環と意識レベル

まとめ

今回は意識レベルの基礎知識でした。

まとめ

✔意識障害とは、覚醒・認知・反応といった機能が低下した状態のこと。

✔覚醒しないということは脳幹や大脳皮質の広範囲な障害を意味するので緊急を要する。

✔意識障害を引き起こす障害や異常には、主に頭蓋内病変と全身性病変に分けられる。

✔意識レベルを評価する際には意識レベルの判定だけを行うのではなく、バイタルチェックや情報収集を行いながら評価する必要がある。

✔意識レベルの判定の評価法には、JCSやGCSがある。

以上、意識レベルの基礎知識でした。

意識レベルについてすぐに使える視点・注意点!

☑普段覚醒している人があらゆる刺激を与えても覚醒しないときは緊急を要することが多いので普段の覚醒状態を知っておく。

現病歴や既往歴に意識障害を引き起こす障害や異常がないかも事前に把握しておく。

☑呼吸器・循環器疾患に特有の意識障害では低酸素やCO2ナルコーシスがあげられる。

☑万が一リハ中に急変し意識レベルが下がった際には、JCSやGCSといった意識レベルの判定だけでなくバイタルチェックや情報収集なども行いながら評価し、医師や看護師などへ素早く伝えスムーズに治療が行えるようにする。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

ご質問やご意見などありましたら、お問い合わせから宜しくお願い致します(^^)

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