今回は体温の基礎知識です。
体温は特に医療従事者でなくてもご家庭に体温計があれば図れる身近なバイタルサインの一つです。
体温からも情報が得られます。
たかが体温、されど体温ですね。
身近なものだからこそ、医療従事者はしっかりと理解しておかないといけませんし、体温測定が必要な患者さんや利用者さんやご家族に定期的に測ってもらい、早期に異常を発見できるようにしておくことも必要ですね。
では体温の基礎知識についてみていきましょう!
体温とは
体温とは読んで字のごとく、体が発する熱のことを体温と言います(そのままですね(;^_^)。
恒温動物であるヒトは変温動物と違い外気温などの変化に影響を受けにくく、ほぼ体温を一定に保っています。
ではどのような仕組みで体の温度を一定に保っているのでしょうか?
一言で言ってしまうと
視床下部の体温中枢が熱の産生と熱の放散を調節し体温を一定の範囲に維持しています。
まず熱産生や熱放散の仕組みを見ていきましょう。
熱産生の仕組み
熱の産生の仕組みは高校の時に生物で習ったかもしれませんが、『代謝』です。
代謝とは外から取り入れた無機物や有機化合物を元に行う一連の化学反応のことを指します。
食べたもの(タンパク質、糖質、脂質)を代謝することによって熱を産生しています。

熱が産生され、暖められた血液や体液などが全身を循環することで体温は維持されます。
また代謝のほかに運動やふるえなどによっても熱は産生されますね。
熱放散の仕組み
熱の放散は、放射(輻射)、伝導(対流は空気層への伝導)、蒸発で起こります。

体温調節
熱産生と熱放散の仕組みを見てきましたが、それをどのように調節しているのでしょうか?
最初にも述べましたが視床下部が関与しています。

受容器で体温を測定し、これを視床下部にある中枢の設定値(セットポイント)と比較し、熱産生または熱放散によりネガティブフィードバックで核心温度を一定に維持しています。
YouTube動画でも説明しています!
ぜひぜひ動画も見てみてくださいね!
体温の測定場所
熱が産生されるのは代謝の場である内臓になるので体の深部は温度が高く、表面は温度が低くなります。
実際は内臓部分では測定が困難なので(直腸温もありますがご家庭ではなかなか難しいですよね。)実際は一般的でご家庭でもよくつかわれるのは腋窩温で測定しますよね。
意外と患者さんやご利用者さんでうまく測定できない人がいます。
正しい体温の測り方も教えてあげましょう。
【測定時の注意】
飲食や入浴、運動などの後、外出後の30分間は検温に適さないので避ける。
測定前には必ず脇の汗はしっかり拭きとる。
【検温中の注意】
検温中は動かずじっとする。途中で体温計を取り出したら、最初からやり直し。
【測定時間】
体温計によって測定方式が違い、測定時間も違う。
実測検温:10分以上必要。
【測定方法】
1.脇のくぼみの中央に体温計の先端をあてる。(体温計の先を下から上にむけて押し上げるようにはさむ。)
2.体温計が上半身に対して30度くらいになるようにして脇をしっかり閉じる。脇が密閉されるように閉じ、肘をわき腹に密着させる。体温計をはさんだ方の肘をもう一方の手で軽く押さえる。
3.平衡温になるまで水銀や実測式の体温計は10分以上、予測式なら電子音が鳴るまでじっとする。
(参考:テルモ体温研究所「ワキでの検温方法より」)
しっかりと測れていましたか?
平熱は?
日本人の平熱
1957年東京大学の田坂定孝教授らの『健常日本人腋窩温の統計値について』によると、日本人の平均体温は36.89度ということになっています。
10~50歳代の3094人(男性1445人、女性1649人)の健康な人の体温を水銀血圧計で腋窩温を30分以上かけて正確に測定した結果です。
この結果、健康な日本人の平均体温は36.89度を中心とした36.55~37.23度ということになりました。
YouTube動画でも説明しています。
ぜひ見てみてくださいね!
体温の影響因子
体温は年齢差、個人差、日差、行動差に影響を受け変化します。
それぞれの理由は以下の通りです。
年齢差
年齢によっても平熱は異なります。
例えば、赤ちゃんは熱を体外にうまく放出できず、体温が高めになってしまいます。
逆に高齢者は熱を作り出す量が少なく、体温調節機能も弱っています。そのため体温が低い人が多いです。
個人差
年齢や性別が一緒でも人によって平熱は違います。
日差
体温は一日のうちで変動しています。
一般的には活動時間帯であるPM3時~8時が一番体温が高くなると言われています。
睡眠中のAM2時~6時は一番体温が低くなると言われています。睡眠中は代謝が低くなるために体温も低めになります。
体温は一日のうちで変動がありますが、正常な日差は1度未満であると言われています。
行動差
同じ人物で同じ時間帯であっても、どのような行動をしたかによって体温に差が生じることがあります。
37度は発熱か?
必ずしも発熱している状態とは言えませんね。
子どもであったり、もともと平熱自体が高い人であったり、ご飯を食べた後であったり、運動をよくする人ならば37度を超える可能性もあります。
体温には年齢差・個人差・日差・行動差があることを考えると目の前の患者さんや利用者さんの平熱を知っておくのが大事ですね。
目の前の患者さんや利用者さんの平熱を知り、その平熱からどれくらい逸脱しているかで異常があるかどうかを判断します。
その人個人の平熱+1度以上
平熱を知ることが重要ですね。
そのためにはできるだけ体温測定の時間は一定にした方が良いと思います。
例えば、毎朝起きてから布団の中で測る、訪問リハの時間は大体いつも同じ時間なのでその訪問時間帯くらいに測定するなど。
病院では看護師が大体いつも同じような時間に検温をしますが、在宅では私は利用者さんに体温測定した時間も一緒に記載してもらってました。
この方法だと後からみて起きてすぐの体温なのか、活動してからの体温なのかわかりますね。
動画でも説明しています⇓
まとめ
今回は体温の基礎知識を見てきました。
✔体温とは体の温度である。
✔体温調節は各種受容器からの情報をもとに視床下部が熱産生と熱放散の調節を行うことで核心温度を一定に保っている。
✔正しい体温測定方法を知る。
✔日本人の平熱は36.89度と言われているが、年齢、個人差、日差、行動差があり、その人個人の平熱を知っておく必要がある。
✔発熱=平熱+1度以上である。
以上、体温の基礎知識でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ご質問やご意見などありましたら、お問い合わせから宜しくお願い致します(^^)
コメント